摂食障害と自律神経

人間の体は自律神経によって自分の意思とは無関係
にコントロールされています。
自律神経には2系統あります。
交感神経と副交感神経がバランスを取りながら体を
コントロールしているのです。


交感神経
 ストレスに対抗し人間を活動できる状態にセットアップします。
 エネルギーを消費する。
 消化器系の働きを抑えます。食べなくても血糖を維持できます。
 心理面においては集中力向上、闘争心が強くなる、暴力的になる。
 視野が狭くなるなどの特徴があります。

副交感神経
 人間を休息できる状態にセットアップします。
 エネルギーを蓄える。
 消化器系を活発にします。栄養吸収力が上がります。
 体をだるくさせます。(眠りにつかせるため)
 心理面においては、想像力、連想力、記憶力を強めます。


さて、人間の摂食行動と自律神経の関係ですが
基本的には、飢えに対応して、食料を確保するための
行動と関係しています。

飢え(血糖低下)を感じる
交感神経が働き、血糖値を維持
狩に備えて、血圧上昇、集中力、闘争心も向上させます。
食欲が出てくると狩の妨げになるので、消化器系の働きを
抑えます。

現代においては、飢えはあまりありませんが
ストレスを受けたときや意図的な飢え、つまりダイエット
においても同じ反応が起きます。

ダイエット(意図的な飢え)を始めると
活発になることがあります。これは交感神経が優位に
働くからです。集中力もさえます。
しかし人間の体は、交感神経優位になりすぎると危険
だと判断して、副交感神経を働かせようとします。
普通は、副交感神経が優位になり、食欲が出てきて
休息、栄養補給ができます。
しかし、意図的に食べない生活をしてしまうと
体は、副交感神経が働いている。だけど食物は入ってこない
という状態になります。休息、栄養補給ができなくなります。
体は休息、栄養補給をしようとして
副交感神経の働きをさらに強めてしまいます。
そうすると、消化器系は異常なほど活発になって
過食を強めてしまいます。
これが過食嘔吐の始まりになることが多いです。
副交感神経の働きによって体がだるくなって
動かなくなるのでうつ病になり易いです。

それでも食べないでいるとどうなるかというと
血糖値が低くなるので、交感神経の働きを強めることがあります。
古代人にとっては、食料を確保するために狩に行かせるためです。
しかし、現代人では、狩の必要はありませんから
交感神経のエネルギーは暴力や、異常なほど活発な問題行動
となることが多いです。
視野が狭くなって、正常な判断ができなくなるもの特徴です。
飢えとは違って食料が簡単に手に入る状況ですから
異常なほどの無意識な過食を強めてしまう結果にもなります。
そうやって自律神経は壊れて摂食行動を正常に保てなくなり
摂食障害になってしまいます。
この状態は低血糖症とも呼ばれています。

さらに、それでも食べないでいるとどうなるかというと
交感神経は過剰に働く、栄養補給はできないという状態です。
これはストレスを受け続けて、休息できないのと同じです。
胃腸が障害されてしまいます。胃腸はストレスの影響を受けやすい。
そうすると、今度は食べようと思っても食べられない。
食べても栄養吸収ができない体が出来上がってしまいます。
そうすると、拒食症になってしまいます。
体はエネルギーを蓄えようとして、副交感神経を強めます。
そうすると体は、ますます動かなくなります。
栄養障害と重なって慢性化したうつ病になることが多いです。

回復するためには、自律神経を正常化させることです。
自律神経がおかしくなっていると摂食行動は正常にはなれません。
消化器系の働きは自律神経が握っているので、自律神経が整えば
栄養吸収ができるようになります。低血糖症も改善します。

朝は早く起きて夕方まで働き、交感神経を使うこと
夕方から夜までは、食事をしっかりとって休み副交感神経を使うこと
夜から朝までは寝ることです。

働き過ぎず、休み過ぎないことが大切です。

ちょっとしたダイエットのつもりが
自律神経の崩壊を招き、低血糖症になることが多いです。
食べないダイエットはダメです。
ダイエットは十分な栄養を確保して行ってください。