向精神薬と精神疾患

抗うつ剤は、主に、うつ病、パニック障害
摂食障害、統合失調症の患者に処方される薬です。

主な作用は、脳の神経伝達物質のセロトニンを有効利用することです。

どういう仕組みかというと
脳は神経から次の神経に情報を伝えることで感情を作り出しています。
神経と神経の間には空間があって、繋がっていないので、神経伝達物質を放出させて
次の神経に情報を伝えています。

セロトニン神経では神経伝達物質としてセロトニンが使われています。
神経には再吸収ポンプというものがあり、放出された後のセロトニンを
再び神経に吸収しまう機能があります。
これは脳が元々持っている機能ですが、抗うつ剤はこの神経の再吸収ポンプを塞いで
しまう作用があります。このことによってセロトニンは再吸収されなくなり増える
ことになります。

なぜ、セロトニンを再吸収できなくして増やせば、うつ病やパニック障害に
効果があると考えられているかというと、うつ病で自殺した人の脳脊髄液の状態を調べた
ところ、セロトニンを分解した結果できる物質が少なかったことがあげられます。
この物質が少ないということは脳のセロトニンが少ないことが推測されたからです。
実際に、セロトニンは脳の中では、感情をコントロールして
精神を安定させる機能があることが分かっています。

さて、この抗うつ剤ですが、うつ病やパニック障害を治すことができるでしょうか。
いろいろな報告がありますが、抗うつ剤の効果がある人は40〜50%ぐらいです。
一方、偽薬を使っても30%ぐらいの人に効果があります。
確かに偽薬よりは10%〜20%ぐらいは改善率が高いわけですから
一定の効果はあるようです。

一定の効果がある抗うつ剤ですが、私は次の問題点があると思います。

1.薬を止めると再発し易い
 脳神経の再吸収ポンプを塞いで、セロトニンを増やすわけです。
 薬を止めれば、当然のように元に戻ります。
 実際に薬でうつ病を治療した人の再発率は3〜4割ぐらいと非常に高いです。

2.副作用の問題
 抗うつ剤には不快な副作用があります。
 多くの人が感じるのは、吐き気、だるさ、口渇、便秘
 脳に、もともと備わっている再吸収ポンプを塞いでしまうわけですから
 どんな不都合があってもおかしくはありません。
 セロトニンも増えすぎれば困るわけです。だから再吸収ポンプは存在している。
 例えば、躁状態、自殺願望なども抗うつ剤と関係があると言われています。
 脳の機能は複雑であるため、因果関係は分からないとしか言えません。
 (もちろん抗うつ剤が本当に病気を治すように働いているかどうかすら
 分かってはいません。)

3.常習性の問題
 体は長いこと薬を飲んでいると、それが入ってくるのが当たり前だと思うようになり
 薬が入ってくることを前提として機能するようになってしまいます。
 そうなってしまった状態で、薬を止めてしまうと、逆に調子を崩してしまいます。
 調子を崩してしまうので、薬を止めれなくなってしまいます。
 精神科医、心療内科医には、抗うつ剤には常習性が少ないと言っている人もいますが
 そんなことはありません。脳神経に作用するような薬は麻薬と同じなのでそうでない
 薬よりもはるかに常習性が高いと言えます。
 現にたくさんの人がパキシル、ルボックスを減薬するときに酷い症状が出ます。
 その症状は、「めまい感」、「頭がしゃんしゃんする」、「下痢」、「肩こり」、「恐怖感」
 「不安」というものです。


抗うつ剤は脳神経の再吸収ポンプを塞ぐことで、放出されたセロトニンを有効活用して
増やすわけですが、セロトニンの原料はトリプトファンというたんぱく質です。
同時にビタミン、ミネラルを必要としています。
これらが不足しているとセロトニンは作られません。

当然ながら、作られないと、抗うつ剤は十分な効果を上げることができません。
では、素朴な疑問ですが、なぜ、医者はトリプトファン、ビタミン、ミネラル
を処方しないんだろうと考えますよね。
それは、トリプトファン、ビタミン、ミネラルは自然に存在する物質だからです。
自然に存在する物質は特許が取れません。要するに儲からないわけです。
儲からないものを作る製薬会社はありません。

栄養状態が悪い人は、抗うつ剤では効果を上げることができないわけです。
実際50%ぐらいの人には十分な効果が上がらない。
医者も抗うつ剤が効かない人がいるという事実は分かっています。
でも、なぜ医者は抗うつ剤を使い続けるのでしょうか。
それは、効果がないことが分かっていても、抗うつ剤以外に施す手がないからです。
患者も早く楽になることを求めて医者のところにやってきますから
何かを処方し続けないわけにもいきません。
第一、心療内科、精神科は診療に時間が掛かるわけです。
(まじめに話を聞いてくれるとこであればの話ですが。。。)
内科みたいに検査もしないわけです。
だから話を聞いてくれるだけの心療内科、精神科だったら経営は成り立ちません。

抗うつ剤は不自然な形で脳神経に作用する。
この手法が良いかどうかは誰にも判断ができません。
脳のセロトニンは必要なときに必要なだけ作られるのが理想です。
増えすぎるのも問題があります。脳が元々持っているの機能を阻害してしまっても
良いものだろうか?この手法は脳の持っている調整能力を狂わせるのではないだろうか。
答えは誰にもわかりません。なぜならば脳はまだまだ良く分かっていないのです。

抗うつ剤に関しては、私は以下のように思っています。
体を車に例えると、抗うつ剤はガス欠寸前の車のアクセルを全力で踏ませるようなもの。
車はガソリン(たんぱく質)がなければ走らない。アクセルばっかり踏んでいても公道は
走れない。ブレーキも踏まないとうまく運転はできないはずです。
ガソリンを補給しないでアクセルを全力で踏んでいるとそのうち止まってしまいます。
そのうち走らなくなってしまいますよ。
少量ながらガソリンが補給されたとしても
ブレーキがうまく踏めなければ、(感情は)のろのろと走りっぱなしです。