銅と亜鉛

すべての精神疾患の人にとって銅と亜鉛のバランスは大切です。
なぜかというと、銅はノルアドレナリン、ドーパミンの代謝に関係して
いるからです。
銅は人体に必要なミネラルで、赤血球のヘモグロビンを作るのに必要です。
鉄の吸収を助ける働き、動脈硬化を防止する働きがあります。
不足すると、人体にはいろいろ問題があります。
コレステロール値の上昇、心臓病、動脈硬化、貧血等の症状があります。
精神症状としてはうつ症状が出ます。
銅不足のうつ病は一見して元気がなく沈んでいる感じがはっきり分かるのが特徴です。

レバー、魚介類、豆類に多く含まれ、普通の食事では不足することはあまりありません。
ダイエットをしている女性などに不足がみられることがあります。

このように、銅は人体に必要なミネラルですが過剰になると問題を起こします。
感情を加速させてしまうのです。一方亜鉛はこれを抑える働きがあります。

銅も亜鉛も血液検査で分かりますが、基準値に入っているかどうかの問題よりも
亜鉛の値よりも銅の値が高いということが問題です。理想は銅の値よりも亜鉛の値が高くなることです。
どうしてこのバランスが崩れるのでしょうか。
食事の摂取量(銅の摂取が多くて亜鉛の摂取が少ない)の問題もありますが
それ以外にも問題があります。

1.ストレスの問題
  体にストレスがかかると肝臓で、メタロチオネインというたんぱく質が合成されます
  が、そのためには亜鉛が必要であるため、亜鉛の消費が激しくなるのが原因です。
2.食品添加物の問題
  食品添加物の中には亜鉛を排出する働きがあるものがあります。
  インスタント食品、レトルト食品が問題です。
  玄米に含まれるフィチン酸も問題です。
3.アルコール
  アルコールの代謝には亜鉛を必要としています。
  亜鉛の無駄遣いです。
4.有害金属の影響
  鉛、カドミウムなどの有害金属を摂取してしまっていると亜鉛を減らしてしまう
  可能性があります。
  特に、子供は有害金属の影響を受けやすい。
  子供の睡眠障害、多動、嘔吐恐怖に深く関係します。
  主な汚染源、鉛は水道管、カドミウムは農産物です。
5.避妊用ピルの使用
  避妊用ピルはPMSの治療に使っている人もいますが、銅過剰を起こします。
  PMSには、血糖値を安定させること(低血糖症を治すこと)と、ビタミンB群の摂取を
  お勧めします。
6.農薬の問題
  農薬には銅が含まれるものが多いです。殺虫剤なんかにも銅は多く含まれます。


私たちの主治医は、銅が多い人はハイになりやすいと教えてくれます。
普通ハイになりやすいんだけど、銅過剰でうつ状態になっている人がいる。
このタイプのうつは厄介なんだそうです。

銅が多い人は症状(性格)からも分かります。
躁状態がある、多動、拒食症、過食症、攻撃性、暴力、盗癖、幻覚、幻聴
異常な不安、異常な恐怖、激高、感情がコントロール不能、反社会的行動
思いついたらすぐ行動する性格、突拍子も無い行動をする性格
頑固で合理的に考えられない。


最初に出ていた精神症状よりも、症状が加速的に悪化して
固定している場合が多いです。
精神症状によるストレスが、銅と亜鉛のバランスを崩すのか。
バランスが崩れているから精神症状が出るのかは分かりませんが
銅過剰が精神症状に影響を与えることは確かです。

銅の害を少なくするためには
亜鉛の摂取を増やすこと、そして銅の摂取を減らすことです。
ところが、食べ物は良く出来ているものです。
その昔は、上記のような亜鉛を減少させるストレスも食品添加物も無かったんでしょう
特に亜鉛が豊富で銅が少ない食品はみつけられません。
亜鉛が豊富なものには銅も豊富にあることが普通です。
牡蠣は亜鉛が豊富なことで知られていますが、銅も豊富です。
本当に自然なものを食べ、ストレスの少ない生活をしていると
銅と亜鉛のバランスが極端に崩れることは本来ありえないはずです。

ここらへんに、現代病によって発生している栄養障害を治す難しさがあります。
銅と亜鉛はイオンになったときの状態が似ているためお互いがお互いの吸収を阻害してしまいます。
つまり銅が多ければ亜鉛の吸収が少なくなります。亜鉛が多ければ銅の吸収が
少なくなります。
亜鉛のサプリメントを使う場合は、銅を減らしすぎないように気を付けることが大切です。
できれば、医師の指導の元に行うことをお勧めします。

うつ病の方
   肌の調子が悪い、不安、恐怖が強い場合は亜鉛不足で銅過剰かもしれません。
   頭の中で悪い考えが止まらない。思い込むと止まらない。
   マイナス思考でしか考えられない。
   このタイプの人は怒りやすい、自殺念慮が強いのが特徴です。
   躁状態が出る人もいます。

パニック障害の方
   予期不安は銅過剰の症状である可能性があります。
   亜鉛が増えると気持ちが安定します。

統合失調症の方
   幻覚、幻聴の一因が銅過剰の可能性があります。
   理由のない不安、恐怖にも関係します。
   時折、荒れて暴力や反社会的行動がある場合もあります。

過食症の方
   止められない衝動は銅過剰です。怒りを伴う場合が多いです。
   常に怒り、それを理性で抑えて我慢している。発散のため過食が止められない。

拒食症の方
   亜鉛不足が食欲不振の原因であることは多くあります。

子供の精神疾患
   睡眠障害、嘔吐恐怖、不登校、暴力、いじめ、犯罪行為の一因は銅過剰である
   場合が多い。子供に、パキシル等の薬を処方する医師がいますが、慎重に対応する
   ことをお勧めします。精神科、心療内科には投薬しかすべがないので、投薬で
   なんとかしようと試みる場合が多いですが発育途上にある子供にはいかなる
   向精神薬も慎重に対応するべきだと思っています。
   できれば、栄養療法に理解のある医師を探して治療されることをお勧めします。